据置型パソコンへの FreeBSD 導入もさることながら、
やはり醍醐味は、ノート〜サブノートパソコンでの FreeBSD や Linux に
よるモバイルコンピューティングであろう。
パソコンの性能向上が著しい今日、
ノート型パソコンも比較的安価で高性能のもの
が手に入るようになり、
また、このところの携帯通信機器の進歩・爆発的普及も相俟って、
数年前には夢であった「出先でも日常と同じ UNIX 環境で仕事」
や「出先から PHS (Personal Handy-Phone System)・携帯電話でアクセス」も、
充分手が届く情勢である。
無論これまでにも
「``パームトップパソコン''によるインターネット」という謳い文句もしばしば
目にしたが、
IBM Palm Top・Hewlett Packard HP 200LX・東芝 Libretto などの一部の
本格的パームトップマシンを除いては、
まだまだ``高級電子手帳''の域を脱しきっていないものも多い。
やはり、異なるプラットホーム間での双方向データ交換が可能になってはじめて、
『ネットワークの一員としての``モバイルコンピューティング''』が可能になると
言えるであろう。
さて FreeBSD でのモバイルコンピューティング環境構築について、話をすすめよう。 まず電源面であるが、 FreeBSD には、APM (Advanced Power Management) BIOS ドライバ が組み込まれている。 またデバイスドライバ面であるが、ノートパソコンで入出力デバイスとして 標準的に用いられる PCMCIAカード (PC カード)が使用可能である。 しかし現状の 2.1.6.1R レベルでも、例えばPCMCIAカードは 数種類しか認識出来ない・ 1度抜くと reboot して再認識させる必要がある…などと、 残念ながらまだ充分とは言い難い。 そこで、ラップトップパソコン環境を充分に整備するためには、 このAPMの拡張及びPCMCIAカード ドライバの総合的パッケージ である PAO を導入すればよい。 これにより、PCMCIA Ethernet カード・FAX/modem カード・ ISDN カード・SCSI カード・Flash ATA カード…の数多くが使用可能となり、 また resume & suspend の際のこれらのデバイスの処理周りが大きく改善 される。 使用可能になる PCMCIA カードや設定方法など、 詳しくは PAO のドキュメントなどを参照して欲しい [12, 13]。 尚、この PAO は FreeBSD 2.2 以降、OS に標準組込される予定である。
実際に携帯するノートパソコンの理想としては、重さ2kg以下・
海外使用も考慮するなら電源アダプタが
ユニバーサルタイプ (100〜240V対応) であること・
内蔵バッテリで 5〜6 時間は駆動・打ちやすいキーボード・
800Mbyte 以上のディスク・AMD5x86-P75 or Pentium 100 程度以上の処理能力…
などがあるが、なかなかこれらの条件をクリアする決定的なマシンは未だない。
日に日に状況は変化する日進月歩の技術革新の世界ではあるが、
現時点でのお勧めモデルはいくつかある。
FreeBSD や Linux でのモバイルコンピューティングによく使用されている
マシンとしては、
IBM ThinkPad 535 や DEC HiNote Ultra などがあげられる。
RS-232C や RS-422 のシリアルポート経由で
箱型外付けモデムを携帯するのでは、
コネクタケーブルが必要になる上に
モデム自体も大きく嵩張り、
なによりも電源の心配をする必要が生じる。
そこで携帯用としては、
名刺サイズの PCMCIAカードモデム
(通常TYPE II) の使用をお勧めする。
中でも、専用のコネクタ
を必要とせず、本体から直接モジュラージャックがポップアップする
USRobotics 社の Megahertz X-Jack シリーズ (写真3, 4)が
携帯に便利である。
あとはこれに
モジュラーケーブルさえあれば、
家庭などの電話端子口 (モジュラージャック)・
街頭からならグレーのISDN (Integrated Services Digital Network)
公衆電話から TTY 接続もしくは PPP 接続することが可能である (写真6)。
今回は姫路工大アクセスサーバへの PPP 接続に関してであったが、 実際に外出先からのネットワークアクセスには、電話料金を考慮すると、 出来るだけその近くに何らかのアクセスするポイントを持つべきであろう。 例えば全国規模のプロバイダにアカウントを有しておれば、 最も近傍のアクセスポイントにPPP接続して…という 使用方法もある訳である。 例えばパソコン通信大手の NIFTY-Serve、PC-VAN や ASAHIネット、 ASCIInet、MSNなどがPPP接続口を設けている。 但しこれらを利用する際には、接続時間等に応じた課金が行なわれるので、 電話料金と課金をよく考慮すべきである。