化学ソフトウェア学会 '00研究討論会 予稿

【第2日 11月4日(土) 講演番号305】
演題 インターネットを利用した分子シミュレーションの表示システムII
発表者
(所属)
○林 治尚、山名一成、中野英彦 (姫路工大・工)
連絡先 〒671-2201 姫路市書写2167 姫路工業大学工学部応用化学科
TEL 0792-67-4884
キーワード molecular simulation, Internet, WWW, Java
開発意図
適用分野
期待効果
特徴など
分子動力学シミュレーションの結果を視覚的に理解することを 目的とする。かつ利用者のマシン環境・OS(プラットホーム)に 依存せず、またネットワークの普及に対応し、 WWW と Java を用いて表示するシステムを開発検討した
環境 適応機種名 ワークステーション
DOS/V(AT互換)機
OS 名 (サーバ) UNIX
(クライアント) UNIX, Windows 他
ソース言語 (サーバ) Fortran, HTML, Java
(クライアント) Java
周辺機器 ネットワーク環境
(スタンドアロンでも可)
流通形態

右のいずれ
かに○をつけ
てください)

  • 化学ソフトウェア学会の
    無償利用ソフトとする
  • ○独自に配布する
  • ソフトハウス、出版社等から市販
  • ソフトの頒布は行わない
  • その他
  • 未定
具体的方法
Web上でのデモ及び公開を予定

1. はじめに

 自然界の現象をモデル化することによる分子シミュレーションは、 凝縮系を中心に様々な系に適用され、 系を構成する個々の原子や分子の運動を数値積分により繰り返し解くことで、 系としての種々のデータを算出し、現象の解明や予測を行なう。 2次元的なデータ解析だけでなく、 時間と共に変化する個々の粒子座標をCGによるスナップショット表示や アニメーション処理することで、 系全体としての運動を視覚的に認識することが可能となる。 近年のコンピュータとネットワーク技術の向上により、 より簡便な手法により動的挙動の視覚的表現が可能な状況となった。 そこで我々は、ユーザ側がコンピュータ環境(プラットホーム)などを 意識したり依存したりすることなく、 分子運動のシミュレーションとその結果を動的に図示する方法として、 WWW 上で Java を用いて表示する方法について開発している。 今回は、さらに改良を加えた点を中心に報告する。

2. 分子シミュレーションに関して

 エチレングリコール(EG)水溶液系など、 分子内に2面角回転の自由度をもつ分子系を中心に、 幾つかの系について分子動力学(MD)シミュレーションを行なった。 これらの分子内2面角回転運動を視覚的に認識することは 特異的な現象発現のポイントとなる、周囲溶媒分子との協同的な挙動を 解析するために非常に重要である。 基本プログラムは Fortran で、データ変換用プログラムなどは C, Perl でコーディングされており、全て自作である。 実行にあたっては、PC-UNIX マシン (Dual-Pentium3/700MHz, FreeBSD-3.5.1R, g77)や DEC AlphaServer8400 5/625 マシン(DEC Alpha21164A/612MHz, Digital Unix, f77) を 用いて計算を行った。

3. 表示手法に関して

figure  パソコン環境やOSなどに依存せずに、かつ特殊なハードを必要としない 表示方法として、非アーキテクチャ依存のバイトコード形式である Java (jdk) を用いた。

 描画された画像データを転送するのでは、 データ量が膨大なものとなり、連続的に表示することが困難になるので、 シミュレーション結果の系全体の瞬間的な分子座標を、 予め必要な範囲のみを変換して取り出し、 時間軸に対し連続的に並べたものをサーバ側に座標データとして用意する。 これをクライアント側に転送し、そのデータから描画表示する Java プログラム(Java applet)を作成した。
 描画 Java プログラムでは、 任意の時刻で系全体の回転・拡大縮小等がマウスにより可能であり、 視点を変えることにより、複雑な挙動を視覚的に理解しやすくなっている。

 尚、Java は FreeBSD-3.5.1R 上での jdk-1.1.8 を用い、 右の表示例は、クライアント側で netscape-4.73 にて表示したものである。

参考文献

[1] M.P.Allen and D.J.Tildesley, ``Computer Simulation of Liquids'', Oxford (1987).
[2] H.Hayashi, H.Tanaka and K.Nakanishi, Mol.Simul., 9, 401 (1993); Fulid Phase Equilibria, 104, 421 (1995).
[3] R.Fielding, T.Berners-Lee et, al, RFC-2068 (1997);
T.Berners-Lee and D.Connolly, RFC-1866 (1995).
[4] 例えば、「HTML入門第2版」 R.リメイ, A.ダニッシュ, PHJ (1998) など.
[5] 「core JAVA 2ndED.」 G.Cornell, Cay S.Horstman, Sun microsystem (1997) など.
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はやし はるひさ hayashi あっとまーく laic.u-hyogo.学術.日本
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