MH-JP インストールマニュアル Feb, 1999 MH-JP Version 3.02 MH-plus Project もくじ ****** 1: インストールの概要 2: ソースの入手・展開 2-1: ソースの入手 2-2: ソースツリーの作成 2-2-1: フルアーカイブを使う場合 2-2-2: 差分を使う場合 2-2-3: オリジナルの MH から作成する場合 3: configure の実行 3-1: configure を実行する前に… 3-2: 機能の指定 3-3: 実行 3-4: `conf/MH' の修正 3-5: 次は make 4: make およびインストール 5: configure のオプション 5-1: メールの送信に関する指定 5-1-1: SMTP 5-1-2: sendmail を直接起動 5-2: メールの受信に関する指定 5-2-1: どの POP を使うか 5-2-2: スプールから直接読む場合 5-2-3: POP を使う場合 5-2-4: RPOP を使う場合 5-2-5: APOP を使う場合 5-3: POP サーバーに関する設定 5-3-1: 独自データベース 5-3-2: AUTHFILE の指定 5-4: NetNews/BBSのアクセス 5-4-1: NNTP 5-4-2: BBOARDS 5-5: シェアードライブラリ 5-6: `conf/MH' の確認プロンプト 5-7: インストールディレクトリ 5-8: コンパイル・リンクオプション 5-9: 日本語マニュアルのディレクトリ 5-10: ページャーのパス 5-11: なにもオプションを指定しない場合 6: 各 OS での注意点 6-1: SunOS 4.x 6-2: HP-UX 10.X 6-3: HP-UX 9.X 1: インストールの概要 ********************* MH-JP はソースで提供されています。利用するためには各自でコンパイル・イン ストールを行なわなければなりません。本文書ではそのやりかたを解説します。 初心者の人でもインストールできるように、なるべく詳しく書きました。が、ベ テランの方には逆にくどくてうっとうしく思うことでしょう (^o^;。そこで、各 章のはじめに「概要」を説明することにしました。フリーソフトのインストール に慣れている人ならば概要だけ流し読みすればいいようになっています。 MH には多彩なオプション機能があります。それらの機能はほとんどが各ユーザー が所有する設定ファイルで設定できますが、コンパイル時にあらかじめ指定して おかなければならないものもあります。また、各機種・各OSに一つのソースコー ドで対応させるためにそのOSの特徴を教えてやる必要があります。 オリジナルの MH ではこれらを実現させるために以下の手順でコンパイルを行なっ ていました。 * `conf/MH' に指定の書式で情報を書く * mhconfig というプログラムを作成する * mhconfig が `conf/MH' の内容にしたがってソースコードを書き換える * make する MH-JP では、コンパイルの手間を省くために、configure スクリプトが導入され ています。configure スクリプトがコンパイルに必要な OS の情報を集めますの で、ユーザーが明示的に指定しなければならないものは「どの機能を使うか/使 わないか」だけになりました。これによりコンパイルの手間が大幅に削減されま した。 MH-JP における configure の主な仕事は「システムを解析し、`conf/MH' を作 成する」ことです。つまり、configure によるソースコードの書き換えは、 `*.in' ではなく、従来通り、mhconfig コマンドの起動によって行なわれます。 そのため、従来通り(configure を一切使わずに)、`conf/MH' を手で書いてコン パイルすることはもちろん、configure でだいたいのところを自動作成させてお いて、細かいところを手で直してコンパイルというようなこともできるようになっ ています。 …というようなものを最終的に目指しています。が、いまのところ configure で自動生成できるものは、メジャーな OS の、ごく一般的な環境でのものしかで きません。現段階では出来上がった `conf/MH' に一応目を通すくらいのことは しておいて下さい(^_^;。 また、自動生成された `conf/MH' がお使いの OS/環境に合わなくて、手で書き 換えざるをえなかった場合は、どこが合わなかったのかを報告して頂けると 有難いです。 2: ソースの入手・展開 ********************* この章では MH-JP を作成するために必要なソースコードの入手方法と、コンパ イルできるようにするためにパッチを当てる方法を説明します。 特に珍しいことが書かれているわけではありませんので、ご存知の方はすっとば してもらって構いません。 2-1: ソースの入手 ================= MH-JP は以下の URL から入手することができます。 ftp://komadori.planet.sci.kobe-u.ac.jp/pub/MH/ (一次配布サイト) ftp://ftp.chem.eng.himeji-tech.ac.jp/pub/net/mh/ mh-6.8.4-JP-3.02.tar.gz MH-JP のフルアーカイブ mh-6.8.4-JP-3.01-3.02.diff.gz 前バージョン(3.01) からの差分 上記の他にもいくつかのサイトでミラーされていると思いますので、お近くの ftp サイトから入手して下さい。 ファイルが2つありますが、両方入手する必要はありません。「フルアーカイブ」 は必要な全てのファイルが入っているもので、「差分」とある方が前回のリリー スからの変更点のみを記述したファイルです。 前バージョンの完全なソースツリーを持っている場合は、「差分」のみの入手で OK です。 2-2: ソースツリーの作成 ======================= 以下に、ソースツリーの作成の方法を、具体的なコマンド例を基に説明を行ない ますが、都合上これらのファイルを `/tmp/mh' に置くものとしています。(が、 実際にはどこにおいても構いません) また、コンパイルを行なうディレクトリに関しても特に場所の制限はありません が、ソース+オブジェクト+バイナリで約10MB〜20MB くらいを使いますので、そ の分のディスク容量を確保して下さい(使用するディスクの容量は機種・OS・選 択するオプションにより異なります。一応の目安と考えて下さい)。 2-2-1: フルアーカイブを使う場合 -------------------------------- フルアーカイブの拡張子は `.tar.gz' です(つまり gzip で圧縮された tar 形 式のアーカイブ)。したがって、gzip -dc で圧縮を解きながら tar で展開しま す。 % gzip -dc /tmp/mh/mh-6.8.4-JP-3.02.tar.gz | tar xpf - カレントディレクトリに `mh-6.8.4-JP-3.02' というディレクトリが作成され、 そこにファイルが展開されているはずです。 2-2-2: 差分を使う場合 ---------------------- 差分を使う場合は、前述の通り前バージョンの完全なソースツリーが必要です。 差分は拡張子が `.diff.gz' であることからもわかるように、gzip で圧縮され た diff の出力です。したがって、gzip -dc で圧縮を解きながら patch を適用 します。(老婆心ながら、まずはソースツリー全体のバックアップをとって作業 されることをおすすめします) % cd (前バージョンのソースツリーのトップ) % gzip -dc /tmp/mh/mh-6.8.4-JP-3.01-3.02.diff.gz | patch -p1 -s 何もメッセージが表示されなければ成功です。何かメッセージが表示されたり、 質問されたりした場合は、どこかで操作を間違えています(よくあるのがカレン トディレクトリを間違えているというもの)。 うまくいかなかった場合は、バックアップを戻して最初からやり直すことになり ますが、差分を使うのをあきらめ、フルアーカイブを使うようにした方が結局は 早いかもしれません `:-)'。 うまくいった場合でも、正しくパッチが当たったか、一応以下のコマンドで確認 しておくといいでしょう。 % find . -name '*.rej' -print ここで拡張子が rej というファイルが見つかった場合、パッチは正しく当たっ ていません。不幸にもそうだった場合はやり直しが必要です。 2-2-3: オリジナルの MH から作成する場合 ---------------------------------------- オリジナルの MH から MH-JP を作成することもできます。というよりも、もと もと MH-JP はオリジナルの MH からの差分という形で配布されていました。し たがって、今から述べるやりかたが伝統に基づいた由緒正しいやりかたです。 `:-)' 上記の差分の他に、以下のファイルが必要です。 mh-6.8.3.tar.Z MH-6.8.3 本体 MH.6.8.4.Z MH-6.8.4 への差分(MH-6.8.3用) mh-6.8.4-JP-3.00.patch.gz MH-JP 3.00 の差分(MH-6.8.4用) mh-6.8.4-JP-3.00-3.01.diff.gz MH-JP 3.01 の差分(MH-6.8.4-JP-3.00用) オリジナルの MH は ftp.ics.uci.edu で配布されていますが、国内にもあちこ ちに置いてあると思いますので、お近くの ftp サイトから入手して下さい。 MH-JP の方は……どこかから入手して下さい`(^_^;'。 ファイルの展開のしかた、パッチの当て方は基本的に前述のやりかたと同じです。 (拡張子が `.Z' のものは compress で圧縮されたもので、zcat で展開します。 違いはそれだけです。) 具体的には以下のコマンドで作成できます。 % zcat /tmp/mh/mh-6.8.3.tar.Z | tar xpf - % cd mh-6.8.3 % zcat /tmp/mh/MH.6.8.4.Z | patch -p0 -s % gzip -dc /tmp/mh/mh-6.8.4-JP-3.00.patch.gz | patch -p1 -s % gzip -dc /tmp/mh/mh-6.8.4-JP-3.00-3.01.diff.gz | patch -p1 -s % gzip -dc /tmp/mh/mh-6.8.4-JP-3.01-3.02.diff.gz | patch -p1 -s 注意点、確認方法は同じですので省略します。 3: configure の実行 ******************* ソースの展開が完了したら次は configure を実行します。configure スクリプ トはコンパイルに必要な情報を収集し、`conf/MH' を作成します。 `conf/MH' を作成したところで一旦プロンプトが出て続行するか聞いてきます。 この段階で `conf/MH' を自由に変更することができます。そして続行を指示す ると、mhconfig を作成して実行したあと終了します。 後は make と打ち込むだけです! 3-1: configure を実行する前に… =============================== 基本的には、各 OS の差異は configure が吸収しますが、中には「そもそも configure が実行できない」といった OS も存在します。まずはじめに「各 OS での注意点」の章を読んで下さい。(*Note 各 OS での注意点: 6) 3-2: 機能の指定 =============== MH-JP には、コンパイル時に決定しておかなければならない項目があります。そ れらのうち、一般的なものは configure のオプションで指定することができま す。 configure は、現在の環境を自動で分析した結果と、指定されたオプションから `conf/MH' を作成します。 特殊な項目のいくつかは configure ではサポートされていません。これらの項 目を指定する場合は `conf/MH' を手で変更することになります。 configure で指定するオプションは章をかえて説明します。(*Note configure のオプション: 5) ここをよく読んで必要なオプションを決定して下さい。何も 指定しない場合でも、とりあえず、MH-JP はできあがります(*Note なにもオプ ションを指定しない場合: 5-11)。 3-3: 実行 ========= configure の実行は以下のようにします。 % sh configure オプションを指定する場合は以下のような感じで指定します。これは `--prefix' を指定した例です。 % sh configure --prefix=/tmp/mhtest 3-4: `conf/MH' の修正 ===================== MH-JP の configure スクリプトは `conf/MH' を自動生成したところで一旦停止 し、以下のように確認のプロンプトを出します。 Use a shell escape to check conf/MH now, if you want. Continue make mhconfig (y/n)? [Y] この時点で `conf/MH' の作成は完了しています。内容を確認し、必要があれば 修正して下さい。 X などのウインドウシステムで configure を実行している場合は、別のターミ ナルから vi などで `conf/MH' を確認したり編集したりすればいいですし、ター ミナルが一つしかない場合は Ctrl-z などで中断して、一旦ターミナルを解放し て、確認・編集を行なうといいでしょう。fg コマンドで configure に戻ること ができます。 configure が自動生成した `conf/MH' を叩き台にして、手動で MH-JP を作成す る場合は、確認プロンプトで n と答えてください。configure は自動生成した `conf/MH' を残して終了します。手動でコンパイルする方法はオリジナルの `READ-ME' をご覧下さい。 `--enable-batchmode' オプションを指定した場合は、確認を省略し、ソースコー ドの書き換えまで一気に実行してしまいます(つまり y と答えた場合と同じ)。 なお、configure で自動生成出来るのは sendmail を使った一般的によく使うよ うな設定だけですので、特殊な環境にいる人や、自動生成された物が自分の環境 に合わない場合は手で `conf/MH' を書き換えることになります。 また、`conf/MH' を書き換える原因が OS にある場合は、その旨報告していただ けるとありがたいです(パッチを送ってもらえるともっとありがたい。:-)。OS 依存部分は configre で吸収できるようにしたいと考えています。 3-5: 次は make ============== `conf/MH' の確認プロンプトにてリターンキーを叩く(もしくは y と答える)こ とで処理が再開され、書き換えられた `conf/MH' をもとに mhconfig を自動的 に作成し実行します。こうして、ソースコードが書き換えられ、「あとは make するだけ」の状態になって configure は終了します。 途中 grinding... と表示される部分で少し時間がかかります(486マシンの場合4〜 5分ぐらいかかることもあります)。MH-JP はオプションの数が増えたせいで、オ リジナルに対してははもちろんのこと jp2c+ バージョンと比べても格段に grinding に時間がかかるようになりました。気長にお待ち下さい(^_^;。 configure が無事終了したら MH-JP の作成は 9 割がた終了したも同然です。次 の章に進んで下さい :-)。 4: make およびインストール ************************** make コマンドを発行してバイナリを作成します。 % make make が成功したらスーパーユーザーになってインストールして下さい。 % su # make install 5: configure のオプション ************************* configure スクリプトのオプションには以下のようなものがあります。 --enable-smtp SMTP によるメールポスト機能を使う。(デフォルト) --enable-pop POP を使う。 --enable-rpop RPOP を使う。 --enable-apop=AUTHFILE APOP を使う。 --enable-popserver MH 付属の POP サーバーをインストールする --enable-dpop POP サーバーが独自データベースだけを見るようにする。 --enable-nntp NNTP による NetNews 閲覧機能を使う。(デフォルト) --enable-bboards POP による BBoards (電子掲示板)機能を使う。 --enable-sharedlib シェアードライブラリを作る。(一部 OS でデフォルト) --enable-batchmode `conf/MH' の確認プロンプトを出さない --enable-jmandir=DIR 日本語マニュアルのディレクトリ --with-pager=DIR ページャーのパス 上記は全て「使う」という指定ですが、`--enable-*' とある部分を `--disable-*' に変えて指定する事もできます。この場合は「使わない」という 指定になります。 以下、ジャンル別に説明します。 5-1: メールの送信に関する指定 ============================= 何を使ってメールの送信するかを指定します。 何を使うか 設定するオプション SMTP(デフォルト) --enable-smtp sendmail を直接起動 --disable-smtp 5-1-1: SMTP ------------ SMTP を使ってメールを送信します。SMTP を喋るメール配送ソフト(例えば sendmail)が動いている場合はこのオプションを指定しておくと良いでしょう。 5-1-2: sendmail を直接起動 --------------------------- sendmail を直接起動してメールを送信します。SMTP を喋るメール配送ソフトが 動いていない場合はこちらを指定することになります。 5-2: メールの受信に関する指定 ============================= メールの取り込みは、メールスプール(`/var/mail' など)に直接アクセスするこ とで行ないますが、以下のオプションを付けることで、取り込みに POP を使う こともできるようになります。 5-2-1: どの POP を使うか ------------------------- どの POP を使うか 設定するオプション 使わない --disable-pop POP --enable-pop POP + RPOP --enable-rpop POP + APOP (デフォルト) --enable-apop POP + RPOP + APOP --enable-rpop --enable-apop 例えば `--enable-rpop' を付けてコンパイルした MH では、実行時に「スプー ルから」、「POPで」、「RPOPで」の3つが実行時に選択できるようになります。 5-2-2: スプールから直接読む場合 -------------------------------- `--disable-pop' を指定した場合は、POP は使えません。メールスプール (`/var/mail' など)に直接アクセスしてメールを取り込むだけの機能を持ちます。 5-2-3: POP を使う場合 ---------------------- もっとも原始的な POP です。ログインパスワードを入力することでユーザー認 証を行ないます。 (POP サーバーが独自データベースを持っている場合はログインパスワードとは 別のパスワードにすることもできます。→ dpop。*Note 独自データベー ス: 5-3-1) これはデフォルトで有効になっています。 5-2-4: RPOP を使う場合 ----------------------- RPOP は、`/etc/hosts.equiv' や `~/.rhosts' に指定されたホストに対しては、 認証をパスすることができるというものです(パスワードを入力しなくても良い)。 RPOP は最新の RFC では削除されているため、デフォルトは「使わない」になっ ています。(`--enable-rpop' を指定すると有効になります。) RPOP は上記のような認証方式ですので、セキュリティ面が問題になることがあ ります。実際に運用を行なう場合はこの点を十分考慮してください。 5-2-5: APOP を使う場合 ----------------------- APOP は POP の認証をログインの認証とは別にすることで安全性を高めている方 式です。 デフォルトでは有効になっています。 この機能を使うには POP サーバーも APOP をサポートしている必要があります。 MH 付属の POP サーバーを使う場合は AUTHFILE の指定が必要です。→ *Note AUTHFILE の指定: 5-3-2 5-3: POP サーバーに関する設定 ============================= MH には、POP でメールを取得する機能があるのは今までに述べた通りですが、 POP を使うためにはメールが届くマシンで POP サービスを提供するプログラム (POP サーバー)を動かしておく必要があります。(注: POP サーバーが動いてい るマシンのことを POP サーバーと呼ぶ場合もあります) MH には、POP サーバーも付属しています。 POP サーバーを… 指定するオプション インストールする --enable-popserver インストールしない(デフォルト) --disable-popserver POP サーバーを動かす必要があるのはメールサーバーだけです。大抵の場合は POP のクライアント機能だけで用が足りるはずです(例えばダイヤルアップでプ ロバイダに繋いでいる場合、POP サーバーはプロバイダのメールサーバーで動い ており、ユーザーが POP サーバーを用意する必要はありません)。 以上の理由からデフォルトは「POP サーバーをインストールしない」になってい ます。 なお、このオプションは「POP を使う」指定にしている場合のみ有効です。(POP を使わない場合、POP サーバーもインストールされません) 5-3-1: 独自データベース ------------------------ POP のアカウントを POP 専用の独自データベースで管理することができます。 独自データベースを… 設定するオプション 使う --enable-dpop 使わない(デフォルト) --disable-dpop 通常、POP でメールをアクセスするユーザーは、その POP サーバーにログイン できるユーザーと正確に一致します。が、セキュリティなど、管理上の都合で POP のアカウント(もしくはパスワード)を分けて管理したい場合があります。こ の時に使用するのが dpop オプションです。 これを enable にすると、POP のアカウントを管理する独自データベースとして `~pop/POP' (pop というユーザーのホームディレクトリにある POP というファ イル) を使うようになります。これは全ての POP (POP, APOP, RPOP) に対して 有効です。(まあ、RPOP では意味ないけど…。) このオプションを選択する場合は、configure を行う前に "pop" というユーザー を登録しておいて下さい。 このオプションは POP サーバーに関する指定です。したがって、POP サーバー をインストールしない場合(`--disable-popserver') は指定しても意味がありま せん。 5-3-2: AUTHFILE の指定 ----------------------- POP サーバーに APOP の認証機能を持たせる場合は、AUTHFILE を指定する必要 があります。これは例えば --enable-apop=/etc/pop.auth というように指定します。 また、make install を行う前に "pop" というユーザーを登録しておいて下さい。 これをしてないと、サーバー機能の一部が使えない事があります。 APOPを… 設定するオプション 使う --enable-apop=(AUTHFILE) 使わない --disable-apop 注意) デフォルトでは `--enable-apop' がパラメータなしで指定されている (AUTHFILE が指定されていない)ため、POP サーバーをインストールする時 (`--enable-popserver')は必ず上記のどちらかの指定を行なう必要があります。 5-4: NetNews/BBSのアクセス ========================== MH で NetNews や BBS にアクセスすることができます。 アクセスの方法 指定するオプション NNTP(デフォルト) --enable-nntp BBOARDS --enable-bboards 使わない --disable-nntp --disable-bboards これらのオプションはどれか一つしか指定できません。(同時に指定するとどれ かが disable になります。) 5-4-1: NNTP ------------ NNTP を使って NetNews にアクセスします。 5-4-2: BBOARDS --------------- UC アーバイン 学内で使われている(らしい)、BBS システムです。(BBS = 電子 掲示板) BBOARDS を使う場合は、configure を行なう前に以下の準備をしておく必要があ ります。 * ユーザー "bboards" を登録する。 * "bboards" ユーザーのホームディレクトリを、例えば /var/spool/bboards というように登録しておく。 * ホームディレクトリのオーナーを "bboards" にする。 5-5: シェアードライブラリ ========================= MH は多数のプログラムから成り立っていますが、共通するモジュールもたくさ んあります。これらのモジュールをシェアードライブラリにすると、実行時にモ ジュールを結合するようになり各プログラムの実行ファイルのサイズを小さくす ることができます。 シェアードライブラリに… 指定するオプション する --enable-sharedlib しない --disable-sharedlib MH-JP でシェアードライブラリに対応している OS は以下の通りです。 * SunOS 4.x * Solaris 2.x * FreeBSD * NetBSD * Linux これらの OS の場合は、デフォルトでシェアードライブラリを作成します。シェ アードライブラリを使いたくない場合は `--disable-sharedlib' オプションを 指定して下さい(スタティックリンクを行ないます)。 上記のリストにない OS でも、シェアードライブラリに対応している OS であれ ば作成は可能であると思われます。手で `conf/MH' を変更してコンパイルを試 みて下さい。(例えば、SVR4 系の OS なら、シェアードライブラリのタイプを sys5 と指定して、make すると成功する場合も多いかと思います。 上記のリストにない OS で、シェアードライブラリの作成に成功された方は、是 非 MH-plus プロジェクトまで御一報をお願いします。次期リリースで configure できるように対応します(`conf/MH' も添付してね ^_^)。 5-6: `conf/MH' の確認プロンプト =============================== configure を実行すると途中で `conf/MH' の確認プロンプトが出ますが、これ の「出す・出さない」を以下のオプションで制御することができます。 conf/MH の確認プロンプトを… 指定するオプション 出す(デフォルト) --disable-batchmode 出さない --enable-batchmode `--enable-batchmode' を指定すると configure が一度も停止することなく、一 気に mhconfig の実行までを行なうようになります。 5-7: インストールディレクトリ ============================= インストールするディレクトリも configure のオプションで指定できます。何 もオプションを指定しない場合は、以下のディレクトリにインストールされます。 --bindir (デフォルト= /usr/local/bin) 実行ファイルのインストール先。ユーザーが MH を使用する場合、PATH 環境変数にこのディレクトリが入っている必要があります。 !注意! デフォルトは /usr/local/bin/mh ではありません。 --libdir (デフォルト= /usr/local/lib) シェアードライブラリのインストール先。(--enable-sharedlib 時) --sbindir (デフォルト= /usr/local/sbin) POP サーバーのインストール先。(--enable-pop 時) --libexecdir (デフォルト= /usr/local/lib/mh) MH 内部から呼び出されるプログラムなどのインストール先。 --mandir (デフォルト= /usr/local/man) マニュアルがインストールされるディレクトリ --prefix (デフォルト= /usr/local) 各ディレクトリの頭の部分を変更 例えば、`--bindir=/usr/local/bin/mh' というふうに指定すると MH の実行プ ログラムは `/usr/local/bin/mh' にインストールされます。`--libdir'、 `--mandir' などに関しても同様です。`--libdir' はシェアードライブラリの場 所、`--mandir' でマニュアルの場所をそれぞれ個別に指定できます。 `--prefix' はこれらのインストールディレクトリの頭の部分を指定するオプショ ンです。これは、上記のオプションと異なり、全てのインストールディレクトリ に影響を及ぼします。デフォルトは `/usr/local' になっており、この値を例え ば… --prefix=/tmp/mhtest と指定すると、`--bindir' に `/tmp/mhtest/bin' を、`--libdir' に `/tmp/mhtest/lib' を(以下同様)指定したことになります。試験的に MH をイン ストールする場合など、正式なディレクトリにインストールしたくない場合に使 うと便利です。 5-8: コンパイル・リンクオプション ================================= 項目 指定するオプション C コンパイラの選択 (環境変数) $CC C コンパイラオプション (環境変数) $CFLAGS リンクオプション (環境変数) $LDFLAGS コンパイルオプション、リンクオプションは configure の引数ではなく、環境 変数にて指定します。コマンドラインから直接指定する場合は、例えば以下のよ うに指定します。 % env CC=cc CFLAGS="-O -I/usr/local/include" \ LDFLAGS="-s -L/usr/local/lib" sh ./configure 5-9: 日本語マニュアルのディレクトリ =================================== 日本語マニュアルをインストールするかしないか、(インストールするのなら)ど こにインストールするかを指定します。 日本語マニュアルを… 指定するオプション 指定したディレクトリにインストール --enable-jmandir=DIR 場所はお任せでインストール(デフォルト) (何も指定しない) インストールしない --disable-jmandir DIR で指定するのは、日本語マニュアルをインストールする「トップ」ディレク トリです。 オプションを何も指定しない場合は、「お任せ」となります。${mandir}/ja、 ${mandir}/ja_JP.EUC、${mandir}/japanese 等のディレクトリがあるかどうかを 調べ、あればそれが指定されます。どれもない場合は日本語マニュアルそのもの がインストールされません。 5-10: ページャーのパス ====================== MH が使用するページャーのパスを指定します。 ページャーのパスを… 指定するオプション 自動検出(デフォルト) (何も指定しない) 自分で指定する --with-pager=DIR 自動検出の場合、jless、less、more の順で使用するページャーを決定します。 (つまり、MH のコンパイルを行なう時点で使用したいページャーが既にインストー ルされている必要があります)。 それでは不都合がある場合(バイナリパッケージを作る時など)は、ページャーの パスを自分で指定することができます。この場合、そのプログラムが既にインス トールされてるかどうかはチェックしないので、ミスタイプは致命的になります (注意!注意!)。(これは MH を make した後で、ページャーがインストールされ る事を想定したもので、仕様です) 普通に使う場合は、何も指定しなくていいはずです(自動検出)。--without の指 定をしてはいけません。 5-11: なにもオプションを指定しない場合 ====================================== 何もオプションを指定しない場合はデフォルト値が使われます。 メールの送信 SMTP 使用 メールの受信 スプールを直接読む、POP、APOP をサポート POPサーバー インストールしない NetNews NNTP 使用 シェアードライブラリ 可能な場合は作成 日本語マニュアル 該当ディレクトリがあればインストール ページャー 自動検出 確認プロンプト 出す インストールディレクトリ /usr/local/… 6: 各 OS での注意点 ******************* ここでは confugure スクリプトでは吸収できないような問題点や、不具合の回 避方法について説明します。 6-1: SunOS 4.x ============== * 既に MH-6.8.3 JP2c 等をシェアードライブラリ有りでインストールしてい る場合で、シェアードライブラリのあるディレクトリが `/usr/lib' と `/usr/local/lib' 以外であり、今回も同じディレクトリをシェアードライ ブラリのディレクトリとして指定した場合は、make に失敗するようです。 この場合は、予め、そのディレクトリの `libmh.*' を消してから make を 始めて下さい。 6-2: HP-UX 10.X =============== * HP-UX 10.20 に付属する sed にはバグがあるため、`zotnet/tws' ディレ クトリの `dtimep.c' を正しく作成することができません。HP から提供さ れているパッチを当てる必要があります。 以下のバージョンに関して動作を確認しています。(バージョンは what コ マンドで確認することができます。) Revision: 78.9 ダメ Revision: 78.9.1.1 ダメ Revision: 78.9.1.2 OK パッチ PHCO_15468 を当てることでバグ無しの 78.9.1.2 にアップグレー ドすることができます。 また、(パッチを当てるかわりに)GNU sed を使ってこの問題を回避するこ ともできます。 6-3: HP-UX 9.X ============== * HP-UX 9.X に付属する /bin/sh は内部処理のバッファ容量が小さく、 configure の実行時にオーバーフローを起こします。したがって、そのま までは正しく configure が行なえません。POSIX シェル(/bin/posix/sh) で configure して下さい。 $ CONFIG_SHELL=/bin/posix/sh; export CONFIG_SHELL $ /bin/posix/sh ./configure POSIX シェルのかわりに bash(フリーソフト) を使うこともできます。
このページの最終更新日: 1999年 2月28日 日ようび 晴れ